プライバシー権に関する 特別報告者からの依頼(要約)

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プライバシーに関する特別報告者からの依頼

参照番号JPN 3/2017
2017年5月18日
内閣総理大臣 閣下
組織犯罪処罰法の一部を改正するために提案された法案、いわゆる「共謀罪」法案が可決された場合、法律の適用範囲が広範であることから、プライバシー権と表現の自由への過度の制限につながるおそれがあります。
共謀罪法案が2017年3月21日に日本政府によって国会に提出されました。この法案は、組織的犯罪処罰法第6条(組織的な殺人等の予備)の範囲を大幅に拡大しています。さらに、「別表」で新たに277種類の犯罪の共謀罪が処罰の対象に加わることになりました。法律の重要な部分が別表に委ねられているために、市民や専門家にとって法の適用範囲を理解することが困難です。
この法案は、広範に適用されるおそれがあり、現状で、また他の法律と組み合わせてプライバシーに関する権利およびその他の基本的な国民の自由の行使に影響を及ぼすという深刻な懸念が示されています。とりわけ、何が「計画」や「準備行為」を構成するのかという点について定義が曖昧であること、および法案別表は明らかにテロリズムや組織犯罪とは無関係な過度に広範な犯罪を含んでいるため法が恣意的に適用される危険があります。
プライバシーに関する権利は、この法律の幅広い適用の可能性により特に影響を受けます。また、立法が急がれることで、この重要な問題についての広範な国民的議論が不当に制限されます。
自由権規約第17条第1項は、個人のプライバシーと通信に関する恣意的または違法な干渉から保護される権利を認め、誰もがそのような干渉から保護される権利を有すると規定しています。
さらに、国連総会決議A/RES/71/199は、「公共の安全に関する懸念は、機密情報の収集と保護を正当化するかもしれないが、国家は、国際人権法に基づいて負う義務の完全な履行を確保しなければならない」としています。
人権理事会から与えられた権限のもと、私は担当事件の全てについて事実を解明する職責を有しております。
要請があれば、国際法秩序と適合するように、日本の現在審議中の法案及びその他の既存の法律を改善するために、日本政府を支援するための専門知識と助言を提供することを慎んでお請け致します。
既に立法過程が相当進んでいることに照らし、即時の公衆の注意を必要とする事項だと考えます。
閣下に最大の敬意を表します。
ジョセフ・ケナタッチ
プライバシーに関する権利の特別報告者

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