「特定秘密の保護に関する法律案の概要」に関するパブリックコメント

パブコメを書きました。

http://search.e-gov.go.jp/servlet/Public?CLASSNAME=PCMMSTDETAIL&id=060130903&Mode=0

特定秘密の保護に関する法律案の趣旨は、「我が国の安全保障に関する事項のうち特に秘匿することが必要であるもの」とあるが、我が国の安全のために、最も秘匿すべきは、原発の立地場所であり、その箇所は、我国の海岸線に沿って50か所以上あり、誰の目にも明らかであって秘匿しようのないのである。原発さえ標的にすれば、原子爆弾を保有しないいかなる国であれ、我が国に対し、原子力災害をもたらす攻撃を加えることが可能である。我が国は、他国と戦争をすることのできない国であることをまず自覚すべきである。

日本国憲法はその前文において、「日本国民は、恒久の平和を念願し、人間相互の関係を支配する崇高な理想を深く自覚するのであつて、平和を愛する諸国民の公正と信義に信頼して、われらの安全と生存を保持しようと決意した」と謳っており、日本国民が諸国民の公正と信義に信頼して、安全保障を行うことを明言しているのである。我が国の安全保障に関しては、他に選択の余地はなく、もし、戦争を選択する余地があると考えるのであれば、我が国は、第二次世界大戦の敗北以上の打撃をこうむることになるであろう。

また、インターネットが発達し、高度に情報化された世界に於いては、マス・メディアに限らず、われわれ国民がさまざまな情報にふれ、かつ情報を発信することが容易であることを鑑みると、「特定秘密の保護に関する法律」の制定により、知らず知らずに犯罪に巻き込まれる可能性もあると考えられる。主権者として当然に知りうべき情報を取得しようとしたにもかかわらず、「特定秘密の保護に関する法律」の制定によって犯罪性を疑われ、かつ、つまらない政争に悪用される可能性も大いにあると考えられる。この法律は、冤罪を生み出す温床なるとしか思えない法律である。

そして、このような危惧は妄想ではないことは、第二次世界大戦前及び戦中の状況がいかなるものであるかを思い起こせば容易に想像のつくことである。

行政機関における特定秘密の指定等について、「その漏えいが我が国の安全保障に著しく支障を与えるおそれがあるため、特に秘匿することが必要であるものを特定秘密として指定する」とあるが、いかなる線引きがされるかは非常に恣意的にならざるを得ず、ときの権力の都合でどのようにも悪用が可能となる。すなわち、失政を隠ぺいするという使われ方をしないという保証がどこにもない。仮に、失政を隠ぺいする形で、特定秘密が悪用された場合、当然なされるべき政権交代がなされないということにもつながりかねない。

主権者である国民に対し、開かれた政治が行われるように、制度は設計されなければならない。

「適性評価の実施」に関する記述は、この情報化時代において、いかにもアナクロな形での情報漏えいを危惧しており、陳腐である。

拡張解釈の禁止に関する規定において、「本法の適用に当たっては、これを拡張して解釈して、国民の基本的人権を不当に侵害するようなことがあってはならない旨を定める。」とあるが、そのような規定があったところで、遵守されるのか心もとない。実際に、国民の基本的人権を不当に侵害した歴史を我が国の国民は体験しているはずである。

なぜ、今このような時期に、すなわち、喫緊の課題として、福島第一原発の過酷事故の処理をしなければならないときに、国民の目を他にそらすような法律の制定を急がねばならないのか。諸外国との軋轢を声高に主張し、事態を一層悪化させ、今ある失政(国策としての原子力発電)を隠ぺいしようとしているとしか思えない。

「特定秘密の保護に関する法律」の制定に反対する。

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