九州電力株式会社川内原子力発電所1号炉及び2号炉の発電用原子炉設置変更許可申請書に関する審査書案に対する科学的・技術的意見

川内原発の再稼働に反対します。

政府は、国際環境の変化を理由に、集団的自衛権の容認を解釈改憲によって行いました。わたしは暴挙と考えていますが、国際環境が政府の言うとおりに変化しているとしても、世界の紛争は第二次世界大戦の頃とは様相を一変し、テロが蔓延していると言っていいのではなかと思います。そして、テロの最大の目標(最も効果的な目標)は、原発なのではないでしょうか。9.11のときに、1機は原発を狙っており、米軍が自ら撃ち落としたのだという説を聞きました。まったくの空想とも思われません。

ところで日本は、54基の原発を抱えています。サッカーを代理戦争と呼ぶ人がいますが、仮に戦争を代理サッカーとするのであれば、わが国にはゴールが54あることになります。もし、戦争する、あるいは、テロリストに狙われる国家になったとした場合に、わが国は、まともな試合をすることはできないのではないでしょうか?もし、わが国の安全を妄想ではなく、まじめに考えるのであれば、すべての原発をまず廃炉にして、テロリストの攻撃目標を一掃することを第一に考えるべきでしょう。

そして、少なくとも、原発の再稼働を検討するというのであれば、テロリスト対策は最重点項目とされるべきであると考えます。下記に、審査書案について、検討します。

 

まず、p.75 3-4.2.3外部火災に対する設計方針において、3.(3)1a.航空機による火災の設定では、敷地内の航空機落下確立が10マイナス7乗回/炉・年となる区域について検討しており、その区域は、安全施設から最も近い場所に航空機が落下すること仮定して、設計方針の策定のために設定したとあります。すなわち、建物自体には10マイナス7乗云々の計算から、落下しないとしているのです。そして、この不思議な計算式をもって、航空機落下による火災が保守的に設定されていることを確認したとしています。また、p.79 3-4.2.5その他人為的事象に対する設計方針では、3.飛来物(航空機落下等)については、航空機の落下の確立が約4.7×10のマイナス8乗回/炉・年であるとして、10のマイナス7乗を超えないため、航空機落下による防御については、設計上考慮する必要はないとしています。つまり、航空機は建物には落下しないことが前提となっているのです。

そして、その舌の根も乾かぬうちに、4-5大規模な自然災害又は故意による大型航空機の衝突その他のテロリズムへの対応においては、大規模損壊が発生した場合には、手順書が適切に整備されていること又は整備される方針が示されていること、加えて、当該手続き書に従って活動を行うための体制及び資機材が適切に整備されていること又は整備される方針が示されていることを要求しているとし、審査を行った結果、大規模損壊が発生した場合における体制の整備に関して必要な手順書、体制及び資機材等が適切に整備される方針であることを確認したことを持って、重大事故等奉仕技術的能力基準2.1に適合しているものと判断したとあります。

確立が低いから建物には航空機は落下しない。しかし、テロリズムへの対応においては、建物の大規模損壊が想定され、それに対しては建物の強度ではなく「手順書」があればいいと言っているのです。しかも、手順書が整備される方針が示されればいいとまで言っています。どこまで基準を甘くすれば気がすむのでしょう?これを安全神話と言わずに何を神話と言うのでしょうか?

4-5 1.手順書の整備(2)では、大規模損壊によって原子炉施設が受ける被害範囲は不確定性が大きく、あらかじめシナリオを設定した対応が困難であるとしています。先の、航空機が偶発的な事故によって、落下する可能性を10のマイナス7乗云々と計算したことと、テロリストがあえて狙った場合は、よりダメージの大きな箇所が狙われるのが当然であるにもかかわらず、まるでそのような事態がおとぎ話の世界であるかのように、手順書が整備される「予定」をもって可としています。このような机上の空論で、安全を確認したとする無責任な態度が、福島の事故をもたらしたのではないでしょうか。

本審査書案は、到底信頼することができません。

5.審査結果において、九州電力株式会社が提出した「川内原子力発電所の発電用原子炉設置変更許可申請書(1号及び2号発電用原子炉施設の変更)」を審査した結果、当該申請は、原子炉等規制題43条の3の6第1項第2号(技術的能力に係るものに限る。)、第3号及び第4号に適合しているとの記載がなされていますが、言語道断です。

川内原発の再稼働は到底認められないと考えます。

 

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