終わりなき福島原発事故 除染作業の実際

きょう、地元、西東京市 田無公民館にて、講演会「終わりなき福島原発事故 除染作業の実際」があり、参加してきた。講師は、山谷労働者福祉会館活動委員で、被ばく労働を考えるネットワークのなすびさん。
3.11前は被ばく労働は原発の中と考えられてきたが、今はそこらじゅうが被ばく労働の場となっている。線量の高い場所に荷物を届ける宅配業者、JR職員、中古車あっせん業(中古車の中には驚くほど線量の高いものがあり、海外に送られたものの陸揚げされずに送り返されるものもある)。。。。

阿倍首相のアンダーコントロール発言や、昨年の野田前首相の収束宣言など、政治スケジュールが優先されて、そのたびに労働環境は悪化している。

除染作業員には、労賃とは別に、危険手当が一日10000円支払われることになっており、これは、除染作業を請け負った大手ゼネコンの最初の見積もりに含まれていて、ピンハネされてはいけない手当である。危険手当のことを知らされずに安価な賃金で雇われて、後に、危険手当が世間的に知られるようになると、当初の労賃をより低く設定し、危険手当を加算したものから、本来、差し引かれるべきではない宿泊費・食費等の費用を控除されて、結局、危険手当が加算されてもわずかな金額になるという実態があった。紛争のテーブルに載せることのできた人は解決金として本来の額を得ることができた(もっとも半年くらいかかった)が、そうでない人も大勢いる。

講演終了後の質問コーナーで、国会議員はとりあげているのかという質問があった。共産党の議員が1回、福島みずほさんが1回、とりあげているが、それきりになっているとのこと。
労働環境のまずしさは、まるで戦前の話を聞いているようだった。
なんでこんなことがまかりとおってしまうのだろう。
わたしも、ハローワークでもっときちんと条件を明記するようにしたらよいのではないかと質問したが、ハローワークへの働き掛けはすでに行われていて、それよりも、ハローワークを使わずにネットからのあいまいな求人情報に応じてくる人が大半であることが問題とのこと。
調査のしようはいくらでもあるように思ったが、調査のための予算がある人(たとえば国会議員)が、きちんと動かないかぎり、難しいのだろう。
それにしても、このような仕事に従事する人を確保するために、一部の人たちの貧しさが必要だというのであれば、やはりおかしなことだと思うし、どんな人が従事するにせよ、きちんとした労働契約が結ばれ、正当な賃金が支払われ、かつ将来的な健康についても留意される必要がある。

放射線管理手帳というのがあるが、これも、可能な限り発行するというルールだそうで、必ず発行するというふうにはなっていないとのこと。どうしてこのように抜け穴だらけなのだろう。

会場に来ていた郡山出身の方から、除染を市に頼むと、シルバー人材派遣センターから人がやってきたり、また、町内会で除染をしているという話があり、それを受けて、なすびさんが、短時間であれ、除染をするには、きちんとした防御が必要であることを強調された。町内会の除染には、子ども連れで参加する人もあり、除染はわきあいあいとするようなものではないし、マスクをすると不安を煽る指摘されることもあり、ここにも一筋縄でいかない問題の困難さがある。指摘しなければ、言わなければ、見えなければ、被ばくはないことになると考えているかのようだ。「風評被害」という言葉はもろ刃で、ここでも罪つくりだと思う。実態を覆い隠すのにこれほど有用な言葉もない。

木田節子さんも文章を寄せているブックレット「原発事故と被曝労働」を買って帰ってきました。

genpaturoudou

参考:被ばく労働を考えるネットワーク http://hibakurodo.net/

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