若い頃、2つ年長の従兄に「全体を俯瞰しなければダメなんだ」と言われて、どうしていいか分からなかった。
少しばかり勉強らしい勉強をして気付いたのは、細々したことを曲がりなりにも把握したときに、やっと全体が見渡せるということだった。
木を見て森を見ずと言われると、木など見ても仕方がないのかと思いがちだが、実は多くの木をつぶさに眺めてやっと全体が見えてくる。
そして、美は細部に宿ると言うが、多くの木々を丁寧に見てから紡ぎ出されたからこそ、美はそこに息づくのだろう。
要するに、やっつけ仕事ではダメなのだ。